インプラントとは~インプラント治療の流れ・骨造成・長持ちする条件をカンタン解説~

2024年5月29日

前回の初診(ひどい虫歯は抜くしかない?~抜歯をする場合としない場合の治療紹介~)で、すでにインプラントが1本入っているにも関わらず、出産後に虫歯が一気に増えてしまい、セカンドオピニオンでやってきた近藤さん。「抜歯を回避するための治療法」と「歯を抜いた場合の治療法」について詳しく教えてもらいました。近藤さんは、納得いく前歯のインプラント治療ができるでしょうか。

近藤さんはインプラントを希望するということで、前回CTを撮影させてもらったと思うんですけど、CTで3次元的に診た上で、インプラントの具体的な治療計画やリスクについてお話ししたいと思います。

はい、よろしくお願いします。

具体的なお話の前に、ちょっとインプラントの説明を改めて話させていただきますね。

はい。

インプラントとは

今回、近藤さんの前歯が折れてしまったところを抜いて、代わりにインプラントを入れます。

インプラントとは
歯の失われた部位に人工歯根を埋め込み、歯冠をかぶせる治療法です。
天然歯と同等の審美性と咬み合わせを再現できます。

インプラントのメリット
・固定式なので、違和感が少ないです。
・両隣の歯に負担をかけません。
・審美性が高い
・咬み合わせが良い
・メンテナンス性が高い

インプラントのデメリット
・外科的治療が必要です
・保険適用外

インプラントの治療期間
3~10ヶ月

具体的な治療の流れをお話する前に、インプラントの土台についてお話させてください。

インプラントを植える土台

インプラントは「プラント」という言葉が使われているだけあって、歯の骨に「植える」んですね。
例えるなら、植物を土に植えるようなものなんですね。
土壌がしっかりしていれば植物が健康に立派に大きく育つように、インプラントも土台となる骨がしっかりしていれば、予後がしっかり見込めます。

なるほど。

今はインプラントの技術も骨をつくる技術も発達してきて、患者さんが「インプラントできる・できない」なら「できる」ケースが多いんです。
ただインプラントの土台が足りない場合は、必要に応じてそれらを作る治療が入ります。
治療の手数がすくないほどリスクが低くて、手数が多いほど、外科処置なのでリスクが高くなります。

すでに土台がしっかりしている場合

もし仮に歯を抜いて10年経過して、骨もしっかり残っている人がいるとしたら、その人はインプラント治療のリスクが非常に低いんですね。

そうなんですね。

なぜかというと、自分の骨がしっかりしているので、私たち歯科医師がする外科処置は骨をドリリングして穴をあけて、その中にチタン製の人工歯根を入れるだけなんです。
外科的な治療工程が単純で少ないので、リスクも少ないです。

ドリリングというと怖いんですけど・・。

人工歯根を「植える」のでどうしても小さな穴を開けなければいけないんですけど、当院ではリスクを低くするために、色んな技術を使っています。
まずお顔下半分を3次元CTスキャンして、神経や血管の位置、骨の形を把握して、治療のシミュレーションをします。

そうなんですか。

このような処置は、歯科医師の中でも口腔外科がその領域のプロなんですけど、当院には私を含めて口腔外科の歯科医師が在籍していて、インプラントの治療を担当しています。

それは安心ですね!

いろんなリスク管理がされているので、土台がしっかりして単純にインプラントを治療する場合は、インプラント治療の中では最もリスクの低い部類にはいります。

骨誘導再生法+インプラントの治療

今回の近藤さんの場合、インプラント治療のリスクとしては「下の上」くらいです。

ちょっとだけ上がるんですね。

はい。
先日撮ったCTを見たところ、骨が少し溶けてしまっているようなんですね。
さらに、今ある歯を抜いた後は、当然ですが、骨に穴が開いている状態です。

はい。

そこで、歯を抜いた時に骨を作るための人工物を入れる処置をすることで、インプラントをしてもぐらつかない土壌を作っていきたいと思います。

そうなんですね。

サイナスリフト+インプラントの治療

ちなみに、もし骨の厚みがもう少し足りなかったら、また別の処置が必要だったんです。
骨の厚みが足りないまま上の歯にインプラントを入れてしまうと、副鼻腔という鼻の空間にインプラントが飛び出てしまうんですね。
副鼻腔とは、蓄膿症になった時に膿が貯まるところで、体内にありながら外界と接しているところです。

だから、もし副鼻腔にインプラントを露出してしまうと感染のリスクが高くなってしまいます。
それを避けるために上顎の脇から穴を開けて副鼻腔側から骨を盛る処置をすることがあります。
「サイナスリフト」という治療で、当院でもよく行う治療です。
この処置はちょっと痛むので、静脈内鎮静法(うとうとするような全身麻酔に似たもの)をかけて外科処置をするんですが、インプラント治療のリスクとしては「上の下」くらいです。

え、上顎の脇に穴を開けるって痛そうですね(汗)もっとリスクが高いのもあるんですね。

骨移植とインプラント治療

リスクが「上の上」になると、歯の骨が足りなくて、腰の骨をブロック上にして歯ぐきに埋め込むような治療もあります・・。

腰ですか!?(笑) それはまた・・・(笑)

骨移植と呼ばれるものですね。

骨造成+インプラントの治療リスク

こうしてインプラント治療の全体像を見てもらいますと、今回近藤さんが行う骨誘導再生法+インプラント治療は、外科的治療をして人工物は足さなくてはいけない状況ですが、人工物を入れるところが単純に歯のところなので、上顎の脇から穴を開ける必要もないし、腰骨を切る必要もないし、比較的リスクが低い方だと言えます。

はい。

穴を開ける場所が少ないというのは結構大事なことで、痛みも小さくて済みますし、麻酔も局所麻酔でいけます。
外科処置の時間も短くて済みますし、治療後の腫れも痛みも比較的コンパクトです。

なるほど。

状況によっては、抜歯即時埋入法といって、歯を抜いたらその日にインプラント埋入と同時に骨補填材を入れてしまうこともできるかもしれません。治療の流れについて詳しくお話しさせていただきます。

主なインプラント治療の流れ

まず、わかりやすいように通常のインプラント治療の流れから紹介しますね。

インプラントの治療の流れ(骨造成が不要の場合)

一回法と二回法があるんですけど、まずは一回法から説明しますね。
まず抜歯を行い、条件が良ければすぐにインプラントという人工歯根を埋入します。
インプラントは骨をドリリングして、埋め込む外科処置なので、麻酔をして行います。
インプラントはチタンという金属でできているんですけど、チタンと骨はしっかり結合する性質があるんですね。
その結合がしっかりされたなと確認できたら、かぶせ物の治療にはいります。

はい。

あとはより慎重に進める場合は、二回法で治療する場合もあります。
インプラントを埋め込んだ時に、歯ぐきを糸で閉じてしまって、骨が結合するのを待ちます。その後、二次手術で歯ぐきを切開して、インプラントに接続部を装着して、歯ぐきが治るのを待ってから、かぶせ物の治療にはいります。

なるほど。

より安全に進めるのなら二回法ですが、骨の状態がそこまでひどくなければ、一回法の方が外科処置の回数も少ない上、治療期間も短くなります。

骨造成+インプラントの治療の流れ

次に近藤さんの場合ですが、骨造成をする必要があるので、骨造成のプロセスが入った治療の流れを紹介します。
先ほどみたインプラント治療に追加して骨補填材を入れるプロセスが入ります。

抜歯した時に骨の状態が良ければ、インプラント埋入と同時に骨補填材を詰めます。
もし骨の状態があまり良くなければ、抜歯の2週間後に骨補填材を入れて骨ができたのをレントゲンで確認してからインプラントを埋入します。
近藤さんの場合は同時でいけると思うんですが、抜歯した時の状況次第で変わるかもしれません。

もし一回でいけたら、シンプルに終わるんですね。

はい、近藤さんの今の状態は骨が少ない中でも状態がいいほうなので。
ただし、インプラントを埋入した後、6ヶ月ほど患部をお休みさせる必要があります。

なるほど。

インプラント治療開始時期の決め方

今の状態ならと言わせてもらったんですが、治療のタイミングが遅くなって骨の吸収が進んでしまうと、さきほどお話ししたサイナスリフト(上顎の脇から穴を開けて骨造成を行う処置)が必要になる場合があります。
さらに骨の吸収が進むと、また別の骨造成の処置が必要になる場合もあるので、もしなるべく大げさにならずにインプラントを治療するのであれば、今戦略的に治療計画を立てたほうがいいと思います。

実際、痛みを感じるときと感じないときがあるんですけど、頻繁に痛みが出てくるようになったんですよね。

今回のこの状態は慢性疾患なんですね。
体調がいい時はご自身の免疫が細菌に勝つから痛みがないけど、睡眠不足や疲れ、体調がすぐれないといった時は免疫も弱くなるので痛みを感じるようになります。
慢性疾患の時は私たちも「ちょっと様子をみましょう」なんて言うんですけど、その期間が長くなってきたり、痛みを感じるのが頻繁になってくると、それはもう慢性疾患とは言えなくなってきます。
これが急性疾患になって、どんどん症状が進んでいる状況になると、急性の痛みが続くから、痛み止めが手放せないほど痛みを感じるようになります。

なるほど、今が大事なんですね。
もうひとつ聞きたいんですけど・・・

インプラントが長持ちする2つの条件

どういうインプラントだと長持ちするんでしょうか?

前提として、外科的な手技が正確で、ちゃんとしたメーカーさんのインプラントを使っていることは当たり前だとして・・・

はい。

大事なことは2つあります。
一つ目はちゃんとした咬み合わせを作れているかという点です。
上の歯と下の歯が咬み合うときに、どの方向からどれくらいの力をその歯が引き受けるのかを計算してインプラントを作る必要があります。
これは近藤さんが何かしなければいけないというわけではなくて、私たちがインプラント治療の時にこの歯が咬み合うときにどういう力を引き受ける役割にしようか、咬み合う力を受け入れる時にど真ん中にインプラントがあるということが大事になるわけです。

骨があるところにインプラントを入れるわけではないんですね。

実は昔は骨があるところにインプラントを入れていた時代がありました。
私たち歯科医師の言葉で「ボトムアップトリートメント」と「トップダウントリートメント」という考え方です。
ボトムアップトリートメントは、今近藤さんがおっしゃったように骨があるところにインプラントを入れていたんですね。
でも、それだと咬み合わせでかかる力とは違う方向でインプラントが植わる場合があるんですね。
例えるなら、釘(くぎ)にハンマーを打ち付ける際に、真上から打ち付けるのと斜めから打ち付けるのとでは大きな違いがあるのと同じです。
斜めから当たった釘は長持ちしませんが、ハンマーの真下で真正面から受け止めた釘は長持ちします。

なるほど。

そこで現在はトップダウントリートメントといって、咬み合わせをまず考えて、そのために最善のインプラントの位置や向きを決めるというのが主流になっています。
私たちはCGで作ってシミュレーションしているので、そのあたりは一昔前と比べて大分進歩したと思います。

そうなんですね。

インプラントを長持ちさせるために大事なことの二つ目は、歯磨きがちゃんとできるかです。ただ、「歯磨きをちゃんとしてくださいね」と言っても、歯磨きしづらいようにインプラントが植わっていれば、なかなか歯磨きできない訳です。
いかに歯磨きしやすいようなインプラントを入れられるかを考えて私たちは治療をします。

はい。

その後は、近藤さん自身がしっかり歯磨きできるか、日頃のお手入れにかかっているのと、あとは定期的に通院してもらって、磨き残しをプロにお掃除してもらうことも大事です。

わかりました。早めにインプラントの治療をしてもらえればと思います。

ではあちらでスケジュールの相談をしましょうか。

治療内容でお悩みの方へ

当院では治療を始める前に、お口が今どんな状態でどんな治療が必要なのか、どんな選択肢があるのかなどを詳しくお話しします。

患者さんの価値観は様々です。歯の健康を重視する方、見た目の美しさを重視する方、来院回数や治療期間を重視する方、治療費用を重視する方など、お一人おひとりの価値観に寄り添います。

また、治療の際はすべての患者さんがなるべくリラックスして受けていただけるよう様々な配慮をしております。たとえば歯医者さんが苦手な方にも配慮しますので、まずはご相談ください。

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